大学入試対策としての数学の勉強法をレクチャーしようと思います。とはいっても高校の定期テストから共通テスト、私立大学や国公立大学まで幅広くあるので、それぞれに関して詳しく解説していけたらと思います。すべて重要なのでぜひ最後まで読んでください。
定期テスト対策
まず、入試以前にやってくるのが学校の定期テストですね。入試と決定的に異なる点は範囲が決まっているところではないでしょうか。入試は全範囲なのに対して、定期テストは問題集でいうと〇ページまで、のような感じです。しかし、諸君の最終目標は「定期テスト」ではなく「第一志望校合格」ですから、この定期テストをうまく利用することを考えましょう。つまり定期テストをおろそかにするというのは論外で、第一志望校対策として利用するのです。高得点を取りたいがために一夜漬けで詰め込むというような受験に何の役にも立たない勉強は絶対にしてはいけません。あくまで志望校合格への通過点に過ぎないということを強く自覚しましょう。数学に関してですが、定期テストは基本的に配布されている問題集とよく似た問題が出題されると思います。人に説明できるレベルまで反復学習をし、確実に高得点を狙いたいところです。当たり前ですが、定期テストに出る問題は入試においても重要だから出題されるわけです。この際、きっちり理解しておくことが不可欠です。その積み重ねが第一志望校合格へとつながります。

共通テスト対策
多くの生徒が受験するであろう共通テスト対策について述べます。この共通テストが諸君にとってどのような位置づけなのかはわかりません。人によりけりだからです。たとえば国公立大医学部医学科を目指すのならば9割近くの高得点が要求されるでしょう。一方、私立大学で数科目しか共通テストを受験しない人もいるでしょう。勉強するウエイトは各自で決めてもらうことにして、ここでは共通テスト対策としての数学の勉強法をお伝えしようと思います。やはり最大の敵は時間でしょう。あの分量をあの時間で処理するのはかなりきついと思います。旧センター試験から文章読解を重視した試験となったことで、読まされる量も増えました。しかし、問われているのは数学力です。しっかりと勉強していればそんなに悲観する必要はないのではないでしょうか。特段共通テスト対策としてなにかをやる必要性は感じません。ただ淡々と数学力を磨いていきましょう。時間配分や形式慣れは必要だと思うので、模試や実戦問題集なんかで調整すればよいでしょう。先ほどあえて「共通テスト対策としての数学の勉強法」と言いましたが本来そのような考え方はおかしいのです。数学は数学であり、共通テストのみに有効な勉強法などないからです。やはり愚直に数学を勉強することが何より大切です。
2次試験対策
では、共通テストを突破した後に待ち構える最後の壁である2次試験対策に関して述べたいと思います。いままで勉強してきたことそのすべてを発揮する時が来ました。いままで大量の問題演習をしてきたと思いますが、試験で問われるのはたったの4~5問です。苦手だと思っていたアノ分野を徹底的に復習&研究してきたのに試験に出なかった、なんてこともあるわけです。それが幸か不幸か、どう思うかは人それぞれですが。では、この2次試験対策はどのようなことをすればよいのでしょうか。まずいま夏ならば苦手克服でしょう。しかし冬ならば苦手は捨てるのが賢明ではないでしょうか。すべてを完璧にして受験に挑もうとしてはいけません。基本的に問題集を進めていき、最後は過去問で演習慣れをするというのがセオリーです。問題集は必ずしもすべての問題を解く必要はありません。苦手な分野や面白そうな問題があれば解けば十分でしょう。数学はやればやるほどできるようになる科目です。したがってたくさんの問題を解くことが合格に向けて大切になってきます。しかし、ただ単に解きまくるだけでは絶対にダメです。最も大切なことは抽象化です。いまやったその問題が入試で出題されることは絶対にありえないことであるので、その問題から何を得たのかが重要です。それを意識して進めていきましょう。そのような勉強を入試本番までに1問でも多く実践できるようになってください。
最難関大対策
東大をはじめとする最難関大対策についても述べておきます。いわゆる最難関といわれる大学では数学も最難といってよいでしょう。したがって対策もしっかりしておかなければいけません。やはり最もカギとなるのは、先ほど述べたように抽象化を実践することです。さらに数学力を伸ばすコツとしては別解の追求と一般化をおすすめします。別解が見つかるというのは視野が広い証拠です。多角的な視点で捉えることができているわけです。数学は見方によってガラッと変わるので広い視野を持ちましょう。問題集にのっていないような解法を思いつきうれしく思うかもしれませんが、たとえ答えがあっていたとしても数学的に正しい答案がかけているかどうかは自分では気づきにくいかもしれません。そのときは先生に見てもらうとよいでしょう。しっかり論述まで意識して勉強してください。「答えがあっていればよし!」では最難関大学には届きません。また、一般化できる問題も出題されます。つまり入試に出題された問題というのは一般化された場合の特殊な一例というわけです。「これは一般化できるかなあ」と考えてみるのもいい勉強です。たとえ成功しなくても深く研究することで次につながっていくでしょう。

数学は暗記か?
「数学は暗記だ!」ということが一時期話題になりました。これに関しては様々な意見が飛び交っていましたね。ちなみに私は反対派です。暗記といっても丸暗記や語呂合わせのようにして解法を覚えるというわけではありません。いわゆる「暗記数学」と呼ばれるものは「解法をパターン化する」ということのようです。チャートのような網羅性の高い参考書を用いて、「こういうときはこのように処理する」としていくわけです。そしてインプットした状態で問題集で「思い出す」という作業をして所見の問題にアタックします。暗記数学を薦めている人はそうやって勉強していくほうが効率が良いと考えているのでしょうね。私に言わせてみれば、原理原則を正しく理解し活用できるようになれば応用問題も解けるようになると考えているので、「パターン化」という幼稚な言葉を選びません。先ほども述べましたが、正しい勉強法は「まともに数学を勉強すること」に過ぎないと考えています。まあ、まともに勉強できないから悩んでいるのでしょうが。そして何より危険だと思うのは、「パターン化」を機械的にしてしまうことだと思います。数学に限らずすべての学問は基礎を土台として積み重ねていくものです。「基礎」とは簡単ではありません。ひとつひとつ確実に理解して積み上げていくのです。さて、機械的にパターン化するとはどういうことを言うのでしょうか。おそらく多くの人がはまってしまう罠は、1題を1題で終わらせてしまい、有機的にほかの問題と結びつけられないというものでしょう。その問題を理解して次に新しい問題にアタックする際、以前にやった問題と結びつけて考えないと一向に終わりません。また、そういう勉強が数学嫌いにさせてしまうのでしょう。「数学とは、基礎の積み重ねであり、それらを有機的に複合させることでどんな問題にも対応できるようになる」ということを心に刻んでおきましょう。また、大学に入ってからはパターンなんて存在しません。したがって、「数学はパターン化して攻略!」なんてキャッチフレーズは聞こえはいいでしょうが、全く本質的ではないのです。
数学3Cが大変だ!
理系の生徒は試験範囲が3Cまであり膨大ですね。したがって、「間に合わない」や「わからない」という声が聞こえてきます。正確には間に合わないから雑に勉強してしまい、分からなくなるのでしょう。しかし、数学3Cこそ勉強するべきなのです。また点数も取りやすいのです。昔は数学3という名前で、ベクトルが数学Bに入っていたため、文系の生徒もベクトルを勉強していました。残念ながら今の時代は理系の生徒しかベクトルは勉強しないようですね。では、なぜ数学3Cを勉強するべきなのでしょうか。それは、基礎と応用の距離が近いからです。たとえば、整数問題なんかは傍用問題集のレベルと入試問題のレベルの差は明らかに大きいです。だから基礎ができても応用問題になると、なかなか点数が出ないこともあるのです。しかし、数学3Cは傍用問題集を仕上げることができれば、応用問題もわりとスムーズに進められます。だから点数を取りやすいため、もっと積極的に勉強するべきなのです。また、余談ですが大学では整数や確率なんかはまったく勉強しません。多くの生徒にとってそれらは大学受験で終わりでしょう。理系の入試セット(4~5題)で全問数学3Cからの出題も珍しくありません。大学側も数学3Cができるようになってほしいと考えているからです。ユークリッドの互除法のやり方を忘れても構わないが、部分積分ができないとどうしようもないのです。理系こそ数学3Cを勉強しましょう。第一志望校合格に大きく近づきます。
模試で成績が伸びない
普段からまじめに(=正しい方向で)勉強しているのに模試になると成績が伸びないという不安が出る人もいると思います。定期テストでは高得点が出ているけれども模試ではイマイチというタイプですね。理由は簡単で「抽象化」ができていないからです。定期テストではやったことがあるような問題しか出ないので、高得点取れて当たり前です。しかし、模試では所見の問題がどんどん出題されるので、定期テスト対策において抽象化することを怠っているとなかなか結果はついてきません。改めて述べますが、抽象化とは簡単に言うとその問題のポイントをおさえることです。その繰り返しで数学力はみるみるついてきますし、それをしないと見たことある問題しか対応できなくなります。普段の勉強からその問題のポイントは何かを明確におさえ、必要に応じてノートに整理しておくとよいでしょう。



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